シェラックとは
シェラックとは、ラックカイガラムシがマメ科やクワ科の樹木に寄生して樹液を吸い、体外に分泌した樹脂状物質です。
樹木の枝に多くの虫が群集し、樹脂層が一塊になって棒状となるのでスティックラックと呼ばれています。
スティックラックを粉砕後、ふるい分けをし、水洗いをして虫殻や木質、水溶性色素などを除去したものはシードラックと呼ばれています。
水溶性色素は回収されてラック色素と呼ばれ、食用色素や染料として使用されています。
シェラックの製造
通常のシェラックは溶融状態や溶解状態で濾過された後、精製されます。
シェラックにはシェラックロウを除去していない含蝋品と除去した脱蝋品があり、シェラック元来の天然色素を漂白あるいは脱色した物があります。
漂白シェラックはアルカリ温水でシードラックを溶解させ、次亜塩素酸ナトリウムで漂白します。
その後、無機酸でアルカリを中和し、シェラックを沈殿させて製造します。
漂白脱蝋シェラックは製造過程の間で濾過によるワックスの除去で得られます。
それ以外にも熱溶融法のシェラックも海外では製造されます。
シェラックの特性
- 天然樹脂としては唯一の熱硬化性樹脂
- 常温でアルコールにゆっくりではあるがよく溶ける
- 熱に容易に融解するが一度熱硬化した後は熱や溶剤にも侵されなくなる
- 強靭な耐油性を有する
- 電気的に不導体である
- 優れた耐摩耗性を有する
- ワニスで塗布されたシェラックの薄い被膜は光沢性に優れ、耐摩耗性、密着性、耐久性に富んだ円滑な表面を形成する
- アルコール以外の有機溶剤にもほとんど不溶、または膨潤するだけである
- 水では不溶だが、アルカリの温水で溶解する